HPを設立してもう2年が経とうとしています。これまでにたくさんのメールをいただき本当に有難うございました。いつも楽しく拝見させていただき大変勇気づけられています。やはりモーニングでの連載は、今までの少女漫画での読者だった方達には多少違和感があるようで、また少女漫画を描いてくれないかとの要望も多々ありますが、今のところは「ES」の世界観を描く事が私なりに楽しく、また自分の作家としての枠を広げるチャンスでもあると思っているので、どうか長い目で見てやってくださいませ。かねてから私は心理学(特に犯罪心理)にとても興味を持っていたのですが、少女漫画ではなかなか表現できる機会に恵まれず、(地味で理屈の羅列に成りかねない世界ですので、小学生も読んでいるような本で描くには、さすがに私自身がプレッシャーを感じて自粛せざるを得ない状態でしたし、また読者もそのような作品を私に望んでいなかったと思われますので)そんなこんなで、今までは雑誌の要求に応えるだけで、自分の進路を考えるような余裕さえなかった状態で、ここにきてようやく自分なりに納得のいく作品に着手する事ができました。その作品「ES」がたとえ駄作であっても、私にとってはいい意味での試金石になればと思っています。
ちなみにタイトルの「ES」は「ES細胞」(どんな細胞にも変化し成長する)からの引用ですか?とのお便りがありましたが、これは全くの偶然でして、この作品中のキャラクターのコードネーム自体がどう表現していいやらと(なんせ造られた生命体な訳だから)悩んだあげく「それ」としか言いようがなくイコール英語で言うところのitをドイツ語のesに置き換えたという訳です。タイトルを決めた後にES細胞の存在に気づき、慌ててES細胞との関連性を隔てるためにエターナル・サバスと命名したという、ちょっと情けない裏事情でした。(苦笑)ストーリー構成上、脳生理学と同時進行で遺伝子の取材に取り組んでいたもので、ES細胞まで辿り着くのにやや時間を要してしまい、このような結果に・・・(いえ今現在も勉強中のような有様ですが)知れば知るほど生命科学は奥が深くて、頭が痛くなるほど魅力的な世界です。