2007/08/03


相変わらず作画に追われて心身疲弊の毎日を送っています。
冷房が苦手なため、なるだけエアコンには頼らず、風を入れ通気をよくして仕事していたのですが、
さすがに今日から冷房を入れました。
原稿には乾いた空気が良好なのですが、体にはどうも具合が良くないらしく、特に右腕が重くならないように保温用にニットを
巻いて作画しています。(冬用の靴下の先端をカットした物に、利き腕を突っ込んでいるだけなのですが)

ところで、それとは関係ない話ですが、先日知り合いの漫画家さんから作画に使っている道具について、
かなり真面目に聞かれまして(NHKで放送された作画風景を観ての事らしい)
私自身はあまり気にしていなかったのですが、もし割りと気になる事なのであればと、この場を借りて御説明しようかと思います。
(興味のない方は読み飛ばしてしまってください)

私の原稿は背景も人物も全てサインペン(PIGMA0.05~ 0.1使用)で描いているのですが、
(通常はGペンと呼ばれているペン先に、黒インクをつけて描いている漫画家さんの方が多いのではないのかと思われますが、
よそ様の事情は私も最近はよくわかりません)
0.05のペンを使っての線がかなり細く見えるらしく、実際使ってみたところ同じような線が出なかったと言われ、
ちょっと自分なりに考えてみたのですが、多分線の入れ方のスピードによる物ではないのかと。
サインペンの場合はゆっくり引くと、単調でそれなりの太さの線が引けるのですが、要所要所でスピードをつけると
かなり細い線が引けたりします。
この要領でやると集中線やベタフラ等もそれなりに形になったりするので、私が効果をやる時は殆どサインペンでやっています。
(アシさんは丸ペンを使ってやっていますが、やはり丸ペンの方が圧倒的に綺麗ですね。私が効果をやるときは時間的にかなり
押してる時のみなので:苦笑)
服やら体の部分は大半が0.1を使用していますが、頭部は0.05使用で、スピードを緩めたり速めたりしつつ描いています。
わかりやすく言うと習字のような感じでしょうか。溜めてはねる、の繰り返しですね。
あとは加減しながら、なぞり描きというか、二重三重に線を重複させて微調整しています。体部分も0.1で同じような仕様で
描いています。

かれこれ二十年ほど前、連載を月刊と週刊でかけもちしなければならなくなった時に、作画時間短縮のために仕方なく
使い始めたサインペンですが、利点はとにかく縦横無尽にインクの擦れを気にせず描き殴れるという所ですかね。
本当なら仕事量を抑え、もっと時間をかけて描けば良かっただけの話なのですが、これがどうにも断れ切れず、
よくニュースで、断りきれずに品物を売りつけられてしまったお年寄りの話とか出てきますが、皆さん口を揃えて仰るのが
「どんなに断っても帰ってくれなかった」と言う事なのですが、今思うとかなりそれに似た状況だったような気がします。
(表現悪いですが)
何気に当時は、締め切り厳守でそれなりに原稿アップしていましたので、依頼しやすい作家だったのかもしれません。
(仮にもプロとしての第一条件は締め切り厳守という事でして)
まあそれと似たような感じでして、じゃあ強気で追い返せばいいじゃないかとお思いでしょうが、何せ編集部との折り合いが
ライフライン確保の自営業であるため強気になる事も出きず、そのために作画へのコスト削減という結果になってしまったと
いう訳です。
その折にもとりあえず、時間短縮のためにサインペンで描いていいかと編集に尋ねたら、それは線が死ぬから止めてくれと
言われまして(鬼かと思いました)
仕方ないので内緒でサインペンに持ち替えて作画して渡していたのですが、何も苦情を言ってこなかったので結局そのまま
描き続けて今日に至っています。
(まあ死ぬだの生きるだの、そういうレベルの線ではなかったという事かもしれません)

因みに友人にも再確認されたのですが、サインペンの場合消しゴムで下絵を消すと線が薄れてしまうらしく、
その対処法として参考になるかどうかわかりませんが、
うちでの場合は、ペンが入っていても原稿を長時間放置しておいたりするので、平均で二日以上は時間経過するため
インクが紙に染み込んでいるのか、もしくはペンを重複させているため定着がいいのか、
問題はインクの定着具合なのだとは思いますが、どちらにせよ下絵自体は鉛筆(B)でかなり薄めに描いています。
下絵をかなりしっかり入れる方は、鉛筆の粒子でコーティングされてインクのノリが悪くなるという可能性もありますね。

しかし、ここまでコスト削減(いちいちインクをつけずに済む)で描いている割には、本当に作画に時間がかかります。
描いても描いてもコマの中が埋まらない。
(最近はデータ収集のおかげでようやく背景もこなれてきたのですが、当時の生活風景というか、風俗を想定して描くのは
相変わらず難儀である事には変わりないです)
物描きとしては作画の質を取るか量を取るか、かなり辛い所でもあるのですが、要はバランスなのかもしれません。
描き込めばいいと言う訳ではないですが、今現在はこのバランスかなり崩壊しているなあ・・・。

とりあえず作画での参考になればという報告でした。

※今までPC二台使っていたのですが、不具合が多くなった事で一台にしたものの、
その際にメールの一部が誤作動で消去されてしまいました。
時間が出来た際には気分転換も兼ねて返事等を書いていたのですが、(かなり滞ってはおりますが)
消去されてしまったかもしれない方には本当に申し訳なく思います。
メールは全てに目を通していますので安心してください。この場を借りてお詫びとお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。


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