2014/10/09


「チェーザレ」virtu’96、一週遅れとなりましたが10月16日発売のモーニング46号に掲載されます。
これで11巻分が纏まりましたが、ここからは前半戦最大の山場に突入となります。
12巻は教皇選一色となりますが、今までにも増してハードな内容になると思いますので、
描き貯めするため掲載はいったん中断し、再開は来年の夏頃になりそうです。

最も厄介なのは、当時のシスティーナ礼拝堂と、それに接する小礼拝堂、控え室、トイレ等の再現です。
システィーナ礼拝堂はもちろんのこと、現在のものとは微妙に違っているため、
当時の見取り図や文献を元に、同じ時代の建築物や内装をアレンジしながらの作成となりそうです。
また、ストーリー上悩ましいのが、そこに閉じ込められる人間が総勢80名という大人数である事です。
その内訳は、
参加した枢機卿が23名、
枢機卿の参謀としての付き人が各2名ですので、付き人総数46名
他、教皇選進行役とその事務方が約10名
事務方に関しては正確な数字が記されていないめ、当時参加した人数の規模から私の独断で、
妥当であると思われる数に設定させて頂きました。
そのうち、枢機卿及び付き人等、焦点を当てなければならない重要人物が約20名程。
どちらにせよ、大所帯の人間模様が展開される予定です。

※1492年の教皇選の内容に関しては、公式に記録が残っていないため
  史実上わかっているのは上記の参加人数と、選挙開始から終了までの日付、
  そして投票結果(各枢機卿の投票記録)だけです。
  その前後の教皇選は細かい記録があるのですが、1492年は何故か存在していません。
  こを取っていないはずはないので、何らかの理由で破棄された可能性があり、
  またその原因も今の所不明です。

連載開始当時は、1492年の教皇選について公式記録がなかった事から、
教皇選自体を形にするのはほぼ無理ではないかと危惧していたのですが、
ここまで監修の原さんと検討してきた結果、ある方法論から導き出す事に成功したと思っております。
それは、その時関わった人物、都市、国の記録を総ざらいに調べていき、
人物は主にオルシーニやメディチ、スフォルツァ、都市はフィレンツェ、ナポリ、ミラノ、ヴェネツィア等の当時の文献から
1492年教皇選についての記述の断片を片っ端から拾い集めていく事でした。
時間は掛かりましたが、これによって教皇選を踏まえた当時のヨーロッパ全体の流れが漸く見えてきました。
これはもう原さんの情報収集能力の高さの御蔭としか言いようがありません。

実はサチェルドーテのボルジア伝には、教皇選についての記録と、それに纏わる事柄は載っていません。
公式の記録が残っていなかった事から、お手上げ状態だったのだと思われますが、
サチェルドーテが生きた時代は百年も前の時代であり、ネットもメールも存在しない頃でしたから、
全てを把握するには時間的にも物理的にもかなり困難であったと思われます。
実際に我々もネットを駆使し、原さんの知識をフルに活用し、10年もの月日をかけてようやく辿り着いた結論ですので、
サチェルドーテが当時、どれだけ苦労して資料を集めたかは想像を絶するものがあります。

現在までの「チェーザレ」はサチェルドーテが集め切れなかった部分、欠落している箇所を我々が引継ぎ精査する事で
形成してきた作品となっているのですが、その方向性自体を示唆したのがサチェルドーテのボルジア伝ですので、
やはりグスターヴォ・サチェルドーテは偉大な研究者であったと認めざるを得ません。

この教皇選は私にとっても正念場となりそうです。
これを描き切る事で当時のイタリア、ヨーロッパ、その中でどのようにチェーザレをはじめとするボルジア家の面々が生きたか、
全てのパズルのピースがはまる事となるのです。
前述の通り、1492年教皇選自体は記録がないので、システィーナ礼拝堂の中で起こった事は、当然私の創作となりますが、
票の動きから推測できる範囲で、最も必然性のある構成に仕上げるつもりですので、
この教皇選さえ描ききれば、その後はかなり楽になるのではと思っております。
そこからはサチェルドーテの精査した資料がありますから、それを水先案内人として肉付けをしていくだけですからね。
(苦労する事はまだまだあるでしょうが、長期の休載は免れるのではないかと思っています)

と、いう訳で、またもや御迷惑をおかけする事となりますが、もうしばらくの間どうかお付き合いください。

また、「CESARE ACADEMIA」にアクセスして頂いた方々には、改めて御礼申し上げます。
元々このサイトは、去年コラボさせて頂いたPOLAの後援により、期間限定で立ち上げたものでしたので、
連載が滞っている間、サイトを通じてファンの皆様と交流を保っていけたらと、POLAの御厚意に甘えて
先月の終了期間まで使用させて頂いた次第です。
関係者各位の皆様、サイトにお越し頂いた皆様、本当に有難うございました。
また、twitterでの更新も前担当者の異動により現在滞っておりますが、私自体は引き継ぐ事が出来ませんので
(つぶやくというより愚痴のオンパレードになりそうなので)、閉じた方が良いのではと現担当者に言っていたのですが、
現担当者が何やら引き継ぐ事を意思表示していますので、(SNSは不慣れという事でこれから勉強するそうです)
とりあえずそのままにしておく事にしました。

実は、「CESARE ACADEMIA」の運営期間を利用して、「チェーザレ」を受け入れてもらえそうな雑誌を探そうと
考えていたのですが、月一連載で休載も度々となると、中々難しいのではと思っていたのですが、
二誌ほど受け入れ可能な話も出てきて、編集部とも色々話し合ったのですが、
結局このままモーニングで続けるのが一番良いのではという事になり、
その際、「月一連載となっても不定期になる事は回避できません」とお断りしたのですが、その状態でも構わないという
結論に達したため、以前と同様モーニングで再開という形にさせて頂きました。
とりあえず一巻分は纏めて掲載しようという事で、次回12巻分も原稿が溜まり次第公開していきたいと思っています。
読者の皆様には御心配をおかけして申し訳ありませんでした。

月一連載は掲載の間隔はあくものの、一話40ページになる事で、時代背景や説明が楽に配置できるようになる事と、
漫画手法でいうところの「引き」の部分も、余裕を持って作りこめるのがこの作品には有難いところでした。
週刊連載で一話20ページだと、まず「引き」のページ配分を意識して構成しなければなりませんので、
回によっては、背景や状況説明の情報がすし詰め状態となる危険性もあり、描く方も読む方も疲弊するのではないかと
兼ねてより負担に感じていましたので、そんな諸事情を踏まえた上で月一掲載は大変有難かったです。

それでは、またしばらくの間休止となりますが、出来るだけ早く戻ってこれるよう頑張ります。
本音を言いますと、出来るなら私自身もチェーザレの生涯を早いところ描ききって、一気に完了させられたらと
ずっと夢見ていたりするのですが。(苦笑)


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