2006/07/29


世間では梅雨が明けたのでしょうか?ただ不快指数しか感じない今日この頃です。
せめて月に一度の更新を心がけようとするものの、まめに書き込めずに本当すみません。
今、私はというと「チェーザレ」1、2巻の単行本の処理に追われているような次第です。正直この連載開始まで作品の方向性については、ずっと迷いがあったのですが、ようやく自分の中で納得のいく結論が出たので、とりあえず一段落といった感じでしょうか・・・
チェーザレについては当初その風貌において金髪説なども浮上しており、定説では弟のホアンが金髪と言われてきたのですが、実はどっちがどっちだったか、はっきりとはわかってないんですね。
私の作品では定説通り黒髪にしましたが、参考資料のサチェルドーテ版によると「上品な貴公子で頑健で見栄え良く」と書かれているだけで詳細については謎のままです。蛇足ですが、興味深いのが当時学友であったジョヴァンニ・デ・メディチが「たいそうチェーザレを気にっており、片時も彼を放っておかなかった」だったらしく(※追記で「しかし閣下はチェーザレの取り巻きのスペイン人達に対しては乱暴物の集まりでけしからん」と毒づいているところがまた笑いを誘うのですが)まあ見栄えが良かった事は確かなようです。

このように錯綜するのも全ては政敵ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレさん(後の教皇ユリウス2世)の所業と言う疑いが・・・
どうもボルジア家の面々の肖像画等、彼らを美化するような物と記録は実はこのローヴェレさんがチェーザレの死後全て焼却させてしまったようで、前政権のボルジア色共々、チェーザレの死後もまだイタリア半島ではチェーザレを英雄視する動きがあり、それを払拭したいがためこのような暴挙に出たようです。
その上徹底的にボルジア叩きを行い、民衆の心をボルジアから自分へと向けさせた訳ですが、これ今で言う情報操作というやつですか、このおじさんも只者ではないですね。いろいろ調べているとこの方結構怖いです。だてに平民上がりのたたき上げじゃないようで、この方に比べるとチェーザレは力量はあったものの所詮貴族のボンボンといった感が否めないです。
しかし、この方のおかげでチェーザレ像も千差万別状態になってしまい、面白さが倍増した反面、逆に史実に忠実であろうとすると、そのラインを探すのに一苦労・・・本当恨みますわ(笑)。
今のところ確実なのはダヴィンチの描いた素描のチェーザレくらいでしょうか。(※26歳とは思えないほど疲労感漂う風貌に描かれていると私には感じられましたが)

ちなみにボルジア=毒薬と言われるくらい、毒殺については語られていますが、15世紀後半から16世紀前半にはまだ劇薬しか存在しておらず、飲んだとたんに即死状態になるため暗殺に使われるよりはどちらかというと処刑に使われることが多かったと思われ(暗殺の場合は毒見されたら即バレですし、)ボルジアに限らず、大半の権力者が公然と抹殺する際に使用してたようです。
遅効性の毒薬が発達するのはコロンブスが新大陸を発見して、当時のヨーロッパでは手に入らなかった物資が流通しだす頃からのようですね。
そんなこんなで10月には単行本も出せそうなので、それまでもうしばらくお待ちください。
1巻でアンジェロを使い時代背景を、2巻でチェーザレを使い人物紹介を、といった形になっており、2巻使ってもまだ概容のみの紹介で本当申し訳ない。これは読み手も苦労を強いられる内容だなあ・・・と頭抱えています。

それから今更ですが枢機卿というものについてちょっと説明しておきます。
中世のヨーロッパでは、法律=聖書に基づく物で、正直この聖書にある事とは究極の理想論であり、当然現実との歪が生じる訳で、当時この歪について気づかせないために、民衆に学問をすることを禁じていたのですが、中には賢い民衆もいる訳で、いろんな矛盾点に突っ込みを入れてくる訳です。それを真っ向から理論でねじふせ、説き伏せてしまう人間が必要になってくる訳でして、これがいわゆる聖職者という存在です。枢機卿はその聖職者の最高峰に位置する人々で、手っ取り早くいうと現在の政治家ですね。


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