2007/02/19

唐突ですが、仕事の合間に息抜きの意味を兼ねて映画を何本か観ました。
その中の一本、ウディ・アレン監督の「マッチポイント」がなかなか興味深く、結構楽しめました。
この映画の「マッチポイント」とは、テニスの試合での大詰めを意味しているのですが、しかしこの作品は
スポ根映画ではありません。人間ドラマです。
人生でいうところの勝ち負けを、テニスの試合運びになぞらえているのだと思いますが、人生とはスポーツの勝敗のように
分かり易いものではないのだと、しみじみ思わせるそんな作品でした。
ウディ・アレン、あの年齢でまだこういった感性を持ち続けているんだなあと、感心してしまいました。
それからシェークスピア原作の「ヴェニスの商人」。
これは去年観た作品ですが、これも大変印象深い映画でした。
はるか昔、某放送局でイギリスBBC製作の同作品のTVドラマを観た記憶があり、私はこの作品を長い間喜劇の範疇として
捕らえていたのですが、2005年に作られたこの映画を観るとそういう思いが根底から覆されてしまいます。
ヴェニスの商人=金貸しシャイロックが、ユダヤ人であると言う事に限りなく焦点を当てた作品に仕上がっていまして、
宗教というものの歴史の重さを再認識させられます。
このユダヤ人シャイロックに扮しているのは、アル・パチーノです。
終盤のアル・パチーノの演技には思わず胸が痛くなります。
アル・パチーノは自ら望んでなのか、こういうマイノリティ度が高く難しい役をよく演じているように感じます。
聞いた話では彼はシェークスピア劇の舞台俳優としても有名らしく、そういった面を考えると
このシャイロック役を揚々として演じていたのではないでしょうか。
背景もとてもよくルネッサンス期が再現されていて美しかったです。

元々、ユダヤ教はキリスト教より戒律が厳しく、当然の如く金儲けは悪しき事であると教えられている訳ですが、
それでも金貸しをやるしかなかった理由は、彼らにとって一番の保険はお金しかなかったからです。
エルサレム滅亡後、ユダヤ人は流浪の民となりました。
どの土地にも根付く事を許されなかった彼らにとって、家土地は政治的情勢が変われば即没収となる訳でして、
そうなると身軽に持って逃げられる財産はお金しかなかったのです。
そのためにユダヤ人の職業も制限され、金貸しの他に、医者、薬屋等という人間の生活に必要不可欠で、またカトリックに
敬遠される職業ばかりに限定されてしまいました。
医者や薬屋が敬遠されたのは、人の体を切ったり縫ったり、薬を調合して飲ませたりと、そういう行為が人為的で自然に
反しているという理由からなのでしょう。人の命を救っているのにも関わらず、なんとも皮肉な結果です。
(ダ・ヴィンチが非難され疎まれた原因のひとつは、人体を解剖したり、それをスケッチしたりと、そういった行為が
神をも畏れぬ行為であったからだと言われています)
薬屋といえば、かのメディチ家もかつては薬屋でしたね。
その後、銀行を開業する事になるのですが、敬虔なカトリックであったローヴェレ家とは対立、
反面、カトリックでありながら他宗教に寛容だったボルジア家とは蜜月状態、
こんな状況も相まって、ついつい余計な憶測をしてしまいがちですが、史実上、確固たる記録も証拠も見つかっていないのが
現状ですので、これ以上は言及しようがありません。
実は、こういった背景を踏まえた上で、「チェーザレ」作中のジョヴァンニの人間像を作り上げたもので、
何だかえらくビビリなキャラになってしまって、史実上のジョヴァンニには大変申し訳なく思う今日この頃です。

上記の二本は作品の質も高く、私的にお薦めできる作品なのですが、ここから先の作品は軽く流して頂ければ幸いです。
あまりの衝撃に、つい独り言を言いたくなっただけとお受け取りください。

知人の薦めで観てしまったベルギー映画なのですが(確かベルギーだったはず・・・あまりの衝撃に詳細見るの忘れました)
その名も「変態村」。
邦題、やっつけにも程があるだろうと、突っ込みしつつ鑑賞したのですが、観終わった後は、ああ・・このタイトルしかないかも・・・
と、妙に納得してしまいました。因みにR指定のホラー映画です。
もしかしたら、これがいわゆる衝撃を笑撃と変換出来うる作品なのでは?と、しばらくの間そんなくだらない事を、
かなり真面目に考えてしまいました。
映像的にはヨーロッパ特有の陰影が全編に出ていて、雰囲気は決して悪くありません。が、しかし、私的にはとても他人に
薦めする気にはなれない作品です。もし仮にうっかりレンタルしてしまった際には、
特典で収録されている短編も是非ご覧になってください。毒を食らわば皿までも、という奴です。

この作品を観てふと思い浮かんだのが、B級ホラーの金字塔、「死霊の盆踊り」です。
これも同様、お薦めする勇気のない映画です。あまりのくだらなさに脱力します。その脱力っぷりがある意味爽快なのですが、
なんというか、上記の「マッチポイント」に例えて言うなら、映画も勝敗じゃないのだなあ、と・・・。
駄作中の駄作も、気合というか本気というか、ポリシー持って作れば人の心(私個人に限りですが)に感銘?のようなものを
与えるのかしれない・・・とか、そんな感慨につい耽ってしまいました。
この近況報告も何気にくだらなかったですね、申し訳ない。