2007/07/01

暑くなってきましたね。今年の夏は酷暑になるらしいとの事、皆様もどうか体調にはお気をつけ下さい。
私の仕事は室内での作業が殆どなもので、直射日光による熱中症等の心配はないのですが

ただ長時間のデスクワークで、エコノミー症候群のような症状に陥る事があり、先日も胃の上部と背中の痛みが増してきたので、

さすがに医者に行き診てもらったところ、食道炎を起こしていたらしく(胃潰瘍とかでなくてホッとしたのですが)

原因は前かがみの姿勢を長時間続け過ぎていた為との事でした。

ここ数年、資料を読むか原稿を描くか、要するに四六時中机にしがみついていた為、背中側の胃と食道の繋ぎ目が

伸び切ってしまい、それで胃酸が上がりやすくなって食道が炎症を起こしていたのだそうです。

(通常、胃と食道の接合部分は巾着袋の口のように窄まっていて、胃液が上がらないようになっているらしい)

さらに運動不足で腹筋と背筋が衰えてきて、背筋を伸ばす事が出来なくなっていたので、そのため胃が圧迫され、

なおさら胃酸が上がりやすくなり痛みが増していたのだそうです。自己管理能力の無さと言う事で、さすがに反省しました。

全ては健全な身体からという事ですね。

最近は一日最低でも1キロは歩くように心がけ、お蔭で体調も随分回復致しました。

だからという訳ではないのですが、もしかしたら4話分だけ8月中に掲載できるかもしれません。

というか掲載しないと4巻分が完成しないので(4巻発売を11月に予定しているので)、今確実にその方向性で原稿を

描き溜めている所です。とりあえず人事を尽くします。

さて、「チェーザレ」については前回、歴史的見解の表現の難しさについてお話しましたが、

西洋史となると、我々東洋人とは人種、文化、風土、様式、信仰、全てが異なっているため中々理解し辛い面があり、

私自身も学生時代、世界史を専攻しながらグレゴリウス一世あたりで投げ出した口でした。(はやっ!)

途中からは、年代ごとに人名やら国やら革命やらを、記号の如く暗記していったような有様で、それも試験のための

一時凌ぎに過ぎず決して蓄積される事のない記憶でした。

日本の学校(高等学校まで)の教育が、歴史に造詣を深めるものではなく、単に暗記術のポテンシャルを高める訓練のような物

と言えるので(正直データ量からいって仕方のない事なのですが)、しかしそんな中にも歴史に興味を抱き探究心を刺激され、

その道の専門家になられる方達はいらっしゃる訳で、その中の一人が現在「チェーザレ」の監修にあたってもらっている

原さんなのだと思います。

私は世界史に挫折した人間でしたが、ぎりぎりルネッサンス時代に明るかったのは、美術史を学んでいたお蔭でした。

(美大の付属高校だったため三年間美術を専門にとりあえず学んだ)

美術においては、ギリシア美術、ルネッサンス美術が基礎とされており、まずは写実主義について徹底的に学習させられる

訳なのですが、カリキュラムには技術(デッサン及び、二学年からは彫塑、油絵、日本画、デザインの専攻に分かれる)の他に

美術史という教科があり、それはまず伝達のための記号のような絵(象形)から始まり、写実的な絵画(ルネッサンス)へと

絵師の技術が進化し、その後写真が普及した事によって写実的な絵画から、人の手ならではの心象的な絵画(いわゆる印象派)

へと移行、さらに現在の現代アートへと変貌していく様を、歴史的背景と共に学んでいく物でした。

(※大雑把にまとめるとこのような流れです)

技術においては、何はともあれ美術の基本は写実で、それを踏まえた上で自分なりにデフォルメし個性を表現しろ、

というような事を学んだ訳ですが、当時の私にはハードルが高すぎて、結局ここでも写実(ルネッサンス)の段階で投げ出して

しまった口でして、彫塑や油絵ではなくデザインを専攻したのも、実はその後ろ向きの態度の現われだったのかもしれません。

それだけルネッサンス美術はかなり衝撃的だったのでしょう。

この時代には、気後れしつつも当時からとても興味があり、その関連として改めて時代背景を調べたような次第でした。

取っ掛かりは、やはりダ・ヴィンチだったと思います。

元々ダ・ヴィンチは中学生の頃、某放送局でイタリア放送協会制作の「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」を観て以来、

ずっと興味を持っていた人物で、その影響からルネッサンス時代への造詣が深まっていったような気がします。

学習への気勢とは、やはり第一に興味を持つ事なのだろうと思います。

チェーザレについては、その当時の段階では、ダ・ヴィンチが関わった変わった名前の軍人といった程度しか記憶がなく、

後にマキァヴェッリの「君主論」のモデルになった政治家として再認識させられるに至り、さらに後に悪徳という名の

代表選手のような表現の数々を目の当たりにする事になる訳でして。

よもや彼について作品を描くことになろうとは、正直その時は露とも思っておりませんでした。

調べれば調べるほど、この時代に生きた人間達が、いかに興味深く魅力的であったか、今更ながら思い知らされる毎日です。

西洋史も美術も、学生時代にギブアップした見事なまでのヘタレな私が、この時代を漫画という形で描ける現状に、

今は本当に感謝しています。

時の流れとは有り難いものです。高校時代の私だったら、どんなに魅力的な史実であったとしても、そこに到達する前に

簡単に投げ出していたに違いないでしょうから。(笑)

それにしても、三十一年という短い生涯だったにも関わらず、よくぞここまでと言えるほど、

波乱に富んだ人生を歩んだチェーザレです。

人物そのものは間違いなく面白い。問題はそれを描ききれるかどうかなのでしょう。

本編のチェーザレはまだ十六歳、賢いながらも政治の中枢からは程遠い所にいる、まだまだほんの子供です。

単行本にすると6巻あたりまで、学生時代のチェーザレを通して時代背景の基礎知識編が続くと思われます。

激動の1492年開始まで、描かねばならない事が山積状態です。

とにかく今は時間が欲しい。